2012年09月30日

つくづく、男って…(スティーブン・ソダーバーク゛監督「エージェント・マロリー」)

はっきり言って、大作ではない。二本立てなら、ラスト一本割引されないほう。朝一番に掛からないほう。レコードで言えば、B面。でも、出会うとほくほくと得した気分になること受け合い。「小気味良さ」とはこういうこと、と鮮やかに魅せてくれる93分だ。
原題『Hayware』は、1.干し草を束ねる針金、2.興奮、混乱、狂乱。あの邦画以上に「ひっちゃかめっちゃか」に展開する。雇われスパイ稼業から足抜けするマロリーに仕掛けられる、幾重もの罠。『トラフィック』『コンテイジョン』同様、舞台ごとにグレー、ブルー、イエロー…と色調が変わり、マロリーの活躍も八面六臂だ。逃げ、攻め、潜み、仕掛ける。
一方、対する男たちは概して精彩を欠く。主役級の俳優がズラリと揃っているのに、マロリー一人にかなわない。まあ、それでよいのだ。新しい恋人も、かつての恋人も、「なぜこんな男に、あのマロリーが?」と首をかしげたくなるが、そこは突っ込んではいけない。所詮は、マロリーの引き立て役なのだから。「絶対領域」の父親は別格として、唯一キラリと光るのは、ダイナーに居合わせたばかりに巻き込まれ、マロリーの逃避行に同行するはめになるメガネのにーちゃん。肩肘張らずカッコつけず、ひたすら慌てふためいているところがかえっていい。誠実ささえ感じさせる。続編を作るなら、ぜひ再登場願いたいところだ。世の中の男性諸氏も、半端なやせ我慢や背伸びより、全力で慌てふためくほうが好感が得られるらしい、と記憶にとどめておくとよいと思う。
ダメッぷりを競い合う悪役男優陣の中で、頭ひとつ出ていたのは、今が旬のマイケル・ファスビンダー。『プロメテウス』でのアンドロイド同様、どこか得体が知れず、おまぬけなのか切れ者なのか、と観る者の予想の振り子を大きく揺り動かし、楽しませてくれる。『ジェーン・エア』も彼あっての作品だった。今後にますます期待が掛かる。
それにしても、それにしても。マロリーの前にガチッと立ちはだかる、骨のある男はいないのか? しばし頭をめぐらし…思い付きました! 「ノー・ワイヤー、ノーCG、ノー・スタント」のないない尽くし、タイが誇るトニー・ジャー! 肉弾戦向きな彼ならぴったりです。さらには、『チョコレート・ファイター』の無敵少女も絡めば、面白さ倍増かもしれません。ぜひ続編は、アジアで熱い戦いを! かなり本気に期待します。

cma

〜〜〜
「エージェント・マロリー」:Haywire、アメリカ
監督:スティーブン・ソダーバーグ
製作:グレゴリー・ジェイコブズ
製作総指揮:ライアン・カバナー、タッカー・トゥーリー、マイケル・ポレール
脚本:レム・ドブス
撮影:ピーター・アンドリュース
出演:ジーナ・カラーノ、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、ビル・パクストン、チャニング・テイタム


posted by staff at 20:51| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。