2013年05月08日

めんどくさいけれど、わくわく。そしてやっぱり味わい深い。(サーシャ・ガバシ監督「ヒッチコック」)

モノづくりは、楽しい。わくわくする。時に苦しく、めんどくさくもあるけれど…すべてひっくるめて味わい深い。人との関わりも、然り。本作は、あの名作「サイコ」が生み出されるまでと、奇才ヒッチコックと妻アルマの関係をタテとヨコの糸に配し、両者の魅力を生き生きと描いていく。(観終えてから、胸熱くする音楽ドキュメンタリーの傑作「アンヴィル」のガバシ監督と知り…納得!)
「サイコ」の舞台裏を覗くのはもちろん楽しいが、ヒッチコックとアルマの関係も、前者に劣らず面白い。天才肌で絶品のひらめきを持ちながら、私生活では度を過ぎた美食家、浮気性で嫉妬深く、覗き趣味まで!と奇人で困り者のヒッチコック。そんな夫を、妻がどっしり支え…とはいかない。冷静に見えるアルマもまた、夫との関係や人生に悩み、迷っていたのだ。そんな「実は等身大」のアルマに好感が持てた。若く美しい女優を前に調子づく夫にイラついたり、真っ赤な水着を衝動買いしたり、いかにも、なニヤけた男友達によろめいたり…。人間くさくてチャーミング。とはいえ彼女は、憤っても相手を追い詰めない。ここぞという時を狙って文字通り(!)「ぎゃふん」と言わせ、夫には絶妙のフォローを繰り出す。なんてカッコいい! そんな手探りで先の見えなかった彼らの関係が、「サイコ」の完成に向けて活性化し、深まっていく様子は爽快。そこに自分もいるかのように、心が躍った。
主役の二人だけではない。無愛想な秘書を演じたトニ・コレットも光った。特に何かするという 役どころではないが、カオスのような現場に彼女がいると、キュッと画面が締まる。作品ごとに様々な顔を見せる彼女の次作にも期待したい。
シンプルなタイトル、どどーんとしたポスターからは想像もつかないが…偶然か必然か、出会いとはじまりの春にふさわしい一本だった。ヒッチコックへの愛を感じるオープニングとエンディングにもニヤリ。ヒッチコック作品を観たくなること、間違いなし!

cma

〜〜〜
「ヒッチコック」:Hitchcock、2012年、アメリカ
監督:サーシャ・ガバシ
脚本:ジョン・J・マクロクリン
出演:アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、トニ・コレット、ダニー・ヒューストン


posted by staff at 09:54| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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