予想以上にいろんな民族の人がいて、お金持ちにそうでない人、陽気な人から内気な人まで…いろんな人がいた。ファッションも同じ。さらには、建物、食べ物、飛び交う言葉も…とにかく何でもあり。歩けば歩くほど、ここがどこなのか分からなくなった。アジアなのかどうなのか、ということさえ。
そして、予想以上に暑かった。すぐに私も、道行く人と同じように、特大のペットボトルを文字通り「持ち歩く」ようになった。ボトルには、チープに見えて意外と丈夫なプラスチックの持ち手が、ちゃんとついていたのだ。
今まで、台湾を代表する映画監督、として頭にインプットしてきたツァイ・ミンリャン。実は、彼の故郷はマレーシア…ということを、新作「黒い眼のオペラ(原題『黒目圏』)」で知った。この映画は、彼が初めてクアラルンプールを舞台とした作品だという。
ツァイ作品を観るときは、いつも緊張してしまう。対峙する、と言いたくなるような覚悟が求められる。今回もそんな気持ちを抱き、気持ちを引き締めてスクリーンに向き合った。
…これは、いったい…?!!
じりじりとした「溜め」が、ぬくもりに昇華する瞬間を感じた。
今回の作品は、非常に美しく、甘く、深くてあたたかい。
作りかけとも壊しかけともつかない高層ビル。そんな廃墟と同様、物語も層を成している。時に互いを浸食し、時に絡み合う。そして、ゆらめく水面(みなも)に流れ着いた、至福の結末…。(´¬`)寝顔って、何て穏やかで、すこやかな幸福感に満ちているんでしょう!
帰り道、街のなんでもない諸々(わらわらとした人混み、薄汚れた建物、道に捨てられた吸い殻…)に、無闇やたらと愛を感じ、胸がいっぱいになりました。
我を忘れて漂流しそうになり、やっとの思いで?帰路についた次第です。
いまだ耳元で流れる甘い音楽を子守歌がわりに、眠りに就くことにます。もしかしたら、彼らと、夢で逢えるかも…
…ゆらり、ゆらりと。
cma
〜〜〜
「黒い眼のオペラ」(『黒眼圏』“I don't want to sleep alone”)
台湾・フランス・オーストリア 2006
監督・脚本:ツァイ・ミンリャン出演:リー・カンション、チェン・シャンチー


廃墟にぬくもりを感じさせてくれるなんてすばらしいですよね。
去年はツァイ・ミンリャン作品に何度も魅了されました。