2007年11月18日

SF世界の先に広がる日常〜「インベージョン」

「泣くな。わめくな。奴らに気づかれたくなかったら、何があっても感情を押し殺せ。」
忠告どおり、ヒロインは、街頭を歩く人々に混じって淡々と歩く。目の前で人が死んでも、抵抗する人が連れ去られても。…無機質な街、無表情な顔。それは決してフィクションではない。確かにどこかで見た・体験した風景であることに気づいたとき、恐怖の沸点ははねあがる。
「es」「ヒトラー最後の7日間」を世に放ってきたドイツの俊才オリバー・ヒルシュビーゲル監督のハリウッド進出作品は、SFだった。宇宙からやってきた謎のウィルスは、強い感染力を持って人間や動物の体内に入り込み、感情を持たないものに変貌させる。「(姿かたちは)夫なのに、夫じゃない。まるで別人」。そんなクライエントの訴えを、はじめは妄想と受け取った精神科医であるヒロインも、周囲の変化に気づき始め…息子を守るために見えない敵との攻防が始まる。ウィルス感染は睡眠により最終段階へ到達するため、彼女は必死で眠るまいとする。彼女の闘いは、どこまでも孤独だ。どんな武器も、何の意味もなさない。
観客である以上、悠々と映画のなかの出来事を眺めていればいいはずが、いつの間にか日常の情景と映画のシーンがかぶっていく。そして、映画が終わったとき、「実は、終わっちゃいない」と気づいた。
宇宙人の侵略の方がまだましだ。
争いの耐えない世界を報じる陰惨なニュースにほほえむ(ウィルスを克服した)彼らと、日々のニュースをやり過ごしている私たちは、同類だろうか。それとも既に、何物かに侵され、別人になっているのか?

cma

〜〜〜
「インベージョン」
監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
出演:ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ

(付記:実は、この物語は過去にも何度か映画化されているらしい。残念ながら未見だが、ぜひ観てみたいと思う。)
posted by staff at 23:44| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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