仕事を辞めた、転職した、結婚した、子どもが生まれた、離婚した、再婚した…そんな事実をやり取りしても、そのとき友が何を感じ何を考えていたかは、今の私にはつかみようがない。安易な共感や半端な助言は不要、ということだけはわかるから、せめてもの相づちを丹念に打つ。
この映画で再会する二人・チャーリーとアランも、時の隔たりが生んだ距離に戸惑いつつ、新たな友情を交わしていく。相手のために何かする、という定義は、彼らの友情に当てはまらない。それは、勘違いなお節介や自己満足でしかないから。相手のためと言いつつも、結局は、自分の影を傷ついた友に見い出しているのだ…と、アランは次第に気づいていく。
共に歌う、オールナイトを観る、中華を食べる…そんなひとときは底抜けに楽しい。それでいて、どこか寂しい。朝が来たらさめる夢のように、これは限りあるやすらぎなのか。かすかでも、その後に続く余韻はあるのか…確信が持てない。だからこそ、立ち止まりや沈黙を避けるように、二人は騒ぎまくっていた。
でも、それだけでは何か足りない。
彼らの友情は、「相手に何をする」かではなく、「自分は、相手にとってどんな存在なのか」と、自分の立ち位置を見いだすところに要がある。そこからさらに、「自分には何ができるのか」、に歩みを進めるのだ。
出会い、別れていく二人に吹き抜ける風。キックボードを思い切り漕ぎ出すとき、それはつめたくも心地よく、爽快に違いない。
cma
〜〜〜
「再会の街で」
監督・脚本:マイク・バインダー
出演:ドン・チードル、アダム・サンドラー、リヴ・タイラー

