ガーシュインの名曲「ラプソディ・イン・ブルー」とともに、ぱーっと幕を開ける「マンハッタン」。彼はまたしても、目の前の素敵な恋人とは向き合わおうとせず、届き得ない恋に舞い上がり、振り回される。やっと目がさめた彼が全力疾走したとき、彼をこよなく愛してくれた彼女は、新しい世界へ旅立とうとしていた。彼女は、時が経てば戻ってくると告げ、彼は再会の決意を強く胸に秘める。
…でも、見える。ウディ・アレンに慣れ親しんだ私たちには、彼のその後が、見えてしまう。次作では、間違いなく彼は失恋している。それは一年後かもしれないし、ひょっとすると翌日かもしれない。
たぶん、その原因は彼にある。「ふがいない自分は、彼女との再会に値しない」とのたまい逃げているか、ふっと熱がさめて「どうせ実るわけがない」と勝手に見切りをつけているか、はたまた新たな恋に浮き足立っているか…。
つくづく、恋は盲目。人の性はそう簡単に変わらない。それでも、唯一無二の一途なきらめきを見せる瞬間は誰にでもあるし、映画という世界の中で、夢は永遠に続く。
ウディ・アレンは、私たちに、映画の魔法をちまちまと披露し続けてくれている。それは、なんて素晴らしいことだろう!
cma
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「マンハッタン」1979年
監督・脚本・出演:ウディ・アレン
音楽:ジョージ・ガーシュイン
出演:ダイアン・キートン、マリエル・ヘミングウェイ、メリル・ストリープ

