2008年04月15日

眼が語る、すべて〜「フィクサー」(トニー・ギルロイ監督作品)

とにかく、眼がすごい。眼だけで、彼らはすべてを表現している。ジョージー・クルーニー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン、そして、三頭の美しい馬。
いったい、どこで間違ったのか。自分は、やり直せるのだろうか。彼らは皆、それぞれに追われる者だ。弁護士事務所で影の仕事を請け負ってきた主人公、マイケル・クレイトンは、まさに追い詰められている。家庭は破綻しかけ、借金はかさんでいる。それでいて、依頼者である大企業の不正を追求するという危ない橋を渡り始めた仕事仲間を切り捨てることは出来ず、揉み消しを目論む上司の命令も跳ねのけられない。そんな彼が、馬たちとの出会いのあとに、断絶しかけた従兄弟と邂逅する場面はあたたかい。それでいて、ラストで見せる表情は晴れやかさとは掛け離れ、エンドクレジットの背景とは思えぬほどに胸に迫る。
さらにこの作品の深みを与えているのは、Jクルーニーの演技とがっぷり組んだ「脇」の力だ。大企業の先鋭として力をふるうティルダが、武装するように身支度をしながら、鏡越しに見せる表情の痛々しさ。正気を失いつつあるトムが、きらめく街のネオンを見上げる時の表情の純真さ。そして、馬たちの澄み切った瞳。
いったい、どこで間違ったのか。はたして、やり直しはきくのか。
そんな問いは、誰しも、一度や二度は自分に投げ掛けるものだ。そのような体験を持つ人ならば、彼らの物語は決して他人事では済まない。日常的な出来事の延長として、ひりひりとした切実さを持ち、心に響くに違いない。

cma

〜〜〜
「フィクサー(原題:マイケル・クレイトン)」
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージー・クルーニー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン
posted by staff at 23:36| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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子どもが観てもつまらない――フィクサー
Excerpt: フィクサー 社会派サスペンス 全体に暗い通奏低音が流れている感じがいい。 通俗な
Weblog: 日々是ディベート
Tracked: 2008-04-16 06:13
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