2013年05月11日

パスタがどうにも気になって(イ・ユンギ監督「愛してる、愛してない」)

水がしたたる映画には、不思議と忘れ難いものが多い。ツァイ・ミンリャンの「Hole」、タルコフスキーの「ノスタルジア」や「ストーカー」、熊切和嘉の「アンテナ」での土砂降り(原作では蝉の声がさざめく晴天を大幅に変更し、成功している)…。さて、本作はどうだろう?
妻の浮気さえ事件にならない、停滞した若い夫婦。妻が出て行くはずの日、雨に降り込められたふたりの元に子猫が迷い込んでくる。原作のタイトルロールである猫…以上に、飼い主の夫婦がおもしろい。それぞれにマイペースで突飛な彼らの乱入で、俄然物語は動き出すか、と期待がふくらんだ。しかし、結局不発。主人公たちに絡みきれず、単発で終わってしまうのが惜しい。
性の匂いがしないかわりに、主人公ふたりは幾度となく共に飲み、食べる。男の淹れるコーヒーは、香りまで伝わってきそうで魅力的だ。(そもそも、雨の日のコーヒーは格別に美味しい!)一方、女の方はちょっと理解に苦しむ。別れ話を切り出した車中で、夫の好みでない飲み物しかないのに、なぜ敢えて彼に選ばせ勧めるのだろう? 夫への冷めた思いや苛立ちの表現としても、芸が細かすぎる。
極め付けは最後のパスタ。これはどうにもいただけなかった。男は、パスタを悠々と茹でてから野菜を切り、ちまちまと炒める。やっとパスタを投入して仕上げ、というところで、女はサラダを作ろうと提案する…! パスタを作り慣れているふたりと思えない手順の悪さ。(パスタへの愛があるならば、サラダ→パスタソース→パスタ、の順でしょう!) 男を泣かせたいのなら、作っておいたサラダのトッピングにタマネギを刻んで散らす、とすればよい話。題材や予告から覚悟はしていたけれど、思いもよらぬモヤモヤが残った。茹だりきったパスタを想うと、心が痛む。
また、途中幾度となく、陽光射し込む(かつての)部屋が挿入される点も、必要以上に物語がばらけてしまう印象を受けた。一度二度であれば、展開の起点として効果を上げたかもしれないが…。原作は未読だが、文字世界以上に、映像世界で「何か起きそうで(表面上は)何も起きない」ドラマを描くのは難しい、と改めて感じた。
監督はもちろん、妻役のイム・スジョンも、「箪笥」で衝撃を受けて以来、観続けている。だからこそ、ことさらにモヤモヤが残った。アンニュイ過ぎず騒々し過ぎず、身体は細くても神経は図太い、そんな軽やかな彼女を観てみたい。

cma

〜〜〜
「愛してる、愛してない」:Come Rain, Come Shine、2011年、韓国

監督:イ・ユンギ
原作:井上荒野
脚本:イ・ユンギ
出演:ヒョンビン、イム・スジョン
、キム・ジス、ハ・ジョンウ(声の出演)

。…しかし本作は、残念ながら忘れ難いというより、忘れたい作品だった。


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2013年05月09日

「アウトレイジ」を観直したくなる80年代香港ノワール!(ジョン・ウー監督「男たちの挽歌2」)

レスリー・チャン・メモリアル上映にて初見。上映館のタイムテーブルの都合でいきなり「2」から観ましたが、十分、いや十二分に楽しめました! 楽しすぎて、1はもちろん続編まで、シリーズをコンプリートしたい!と思ったほどです。
無駄に(←ほめ言葉です)火薬が炸裂する銃弾戦、スクリーンを突き破る勢いで吹っ飛ぶ負傷者、二丁拳銃、ストップモーション、白地(服、壁、ランプシェード…)を染める鮮血…。ウー監督印は当然ながら満載。思わず何度も吹き出しそうになりました。
とはいえ何より収穫だったのは、あの北野武監督作「アウトレイジ」への影響を発見できたことです。特に、冷徹なスナイパーと、加瀬亮が演じた金庫番の相似形! 顔つきも体型も全く違うのに、加瀬亮が被ってかぶって…「アウトレイジ」を観ているかのような錯覚に陥ることがありました。(ちなみに、連れは「レスリーが桔平ちゃんに見えた!」そうです。)ギリギリまで削ぎ落としたセリフやシーン、腹黒オッサン群の幼稚さ、脂っこさ…も然り。改めて観直したくなります。
また、すでに四方田犬彦氏や野崎歓氏らが論じている点ですが、抜き差しならない濃密な男性同士の関係も強く感じました。部下の裏切りと娘の死で正気を失った男を看病する料理人チョウ・ユンファ。いきなり肉料理を振る舞い、ソーセージ(!)をぱくついて見せます。そして、悪戦苦闘の末に病んだ彼がかぶり付くのが生肉の塊! さらにオレンジの果実を分かち合い、オレンジは仲間の結成の場面でも再登場。うまいなあと思いました。加えて目についたのは、男同士の「お姫様ダッコ」の多用。いくら深傷を負っていたとしても、一般には肩に手を回して引きずったり、肩に担いでダッシュするように思うのですが…。彼らは迷わず、愛する仲間をお姫様ダッコ! 不思議な切なさを生んでいました。
やっぱり、香港映画はたまりません! あー、もっと観たい。スクリーンでガンガン観たい!
cma

〜〜〜
「男たちの挽歌2」英雄本色U、1987年、香港
監督:ジョン・ウー
製作:ツイ・ハーク
出演:チョウ・ユンファ、レスリー・チャン、ティ・ロン、ディーン・セキ、エミリー・チュウ
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2013年05月08日

めんどくさいけれど、わくわく。そしてやっぱり味わい深い。(サーシャ・ガバシ監督「ヒッチコック」)

モノづくりは、楽しい。わくわくする。時に苦しく、めんどくさくもあるけれど…すべてひっくるめて味わい深い。人との関わりも、然り。本作は、あの名作「サイコ」が生み出されるまでと、奇才ヒッチコックと妻アルマの関係をタテとヨコの糸に配し、両者の魅力を生き生きと描いていく。(観終えてから、胸熱くする音楽ドキュメンタリーの傑作「アンヴィル」のガバシ監督と知り…納得!)
「サイコ」の舞台裏を覗くのはもちろん楽しいが、ヒッチコックとアルマの関係も、前者に劣らず面白い。天才肌で絶品のひらめきを持ちながら、私生活では度を過ぎた美食家、浮気性で嫉妬深く、覗き趣味まで!と奇人で困り者のヒッチコック。そんな夫を、妻がどっしり支え…とはいかない。冷静に見えるアルマもまた、夫との関係や人生に悩み、迷っていたのだ。そんな「実は等身大」のアルマに好感が持てた。若く美しい女優を前に調子づく夫にイラついたり、真っ赤な水着を衝動買いしたり、いかにも、なニヤけた男友達によろめいたり…。人間くさくてチャーミング。とはいえ彼女は、憤っても相手を追い詰めない。ここぞという時を狙って文字通り(!)「ぎゃふん」と言わせ、夫には絶妙のフォローを繰り出す。なんてカッコいい! そんな手探りで先の見えなかった彼らの関係が、「サイコ」の完成に向けて活性化し、深まっていく様子は爽快。そこに自分もいるかのように、心が躍った。
主役の二人だけではない。無愛想な秘書を演じたトニ・コレットも光った。特に何かするという 役どころではないが、カオスのような現場に彼女がいると、キュッと画面が締まる。作品ごとに様々な顔を見せる彼女の次作にも期待したい。
シンプルなタイトル、どどーんとしたポスターからは想像もつかないが…偶然か必然か、出会いとはじまりの春にふさわしい一本だった。ヒッチコックへの愛を感じるオープニングとエンディングにもニヤリ。ヒッチコック作品を観たくなること、間違いなし!

cma

〜〜〜
「ヒッチコック」:Hitchcock、2012年、アメリカ
監督:サーシャ・ガバシ
脚本:ジョン・J・マクロクリン
出演:アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、トニ・コレット、ダニー・ヒューストン
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2013年05月06日

世界映画まつり!(アンディ&ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクバ監督「クラウド?アトラス」)

あのウォシャスキー兄妹とトム•テイクヴァがタッグを組んだ新作!と聞き、前々から楽しみにしていました。ところが、某大手新聞には冷ややかな評論が並び…。ひやひやしながら(地元シネコンではスルーされていたので)隣町まで遠征して観に行きました。…が!
「なんだ、おもしろいじゃないか!」
というのが率直な感想です。小さくガッツポーズ! 人とひとの出会いが繰り返され、折り重なり、うねりとなっていく…という普遍的なテーマを、多様な切り口でみせる三時間。傑作、名作という類ではないかもしれませんが、めくるめく楽しさが味わえました。(とはいえ、エピソード6つは少々盛り過ぎ。4つくらいでも成立するような気はしました。)
なんと言っても、一人4〜6役という俳優たちの化けっぷりが見どころです。トム•ハンクスやヒュー•グラントなどオヤジたちは悪ノリが過ぎて「やっぱりトム、やっぱりヒューさま…」という感がありましたが、若手の繊細な演じ分けは光ります。特に、ペ•ドゥナとベン•ウィショーが印象的でした。
かつて「マトリックス」を観たとき、帰り道で大興奮しながらネオのまねをして飛び跳ねている男の子たちを見かけ、幸せな気分になりました。この作品も、「なんだ、コレ!?」「こんなのが世の中にあるのか!」「映画ってスゴイ!」と若者を驚かせ、引きつけ、いつしか新たな作家、作品に繋がっていくのでは…と思います。それこそ、この作品の真骨頂ではないでしょうか。
今後に、期待!
(余談ですが…俳優たちが性別を越えて演じるのは、ラナ•ウォシャウスキー監督自身の投影?なんてちらりと思いました。「オルランド」でのティルダ•スウィントンという前例もありますが、少し毛色が違うかな…と。)
cma
〜〜〜
「クラウド•アトラス」Cloud Atlas
、2012年、アメリカ
監督:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクバ、アンディ・ウォシャウスキ
出演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィービング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント
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2013年05月05日

「おだやか」にひそむ不穏(内田伸輝監督「おだやかな日常」)

痛々しいほどの衝撃的な予告編が、ずっと胸に刺さっていた。地元での公開を知り、意を決して劇場に向かう。意外にも、すっと心にしみ込む作品だった。
見えない恐怖といかに向き合い、大切なものを守るか。たしかに、登場人物たちは幾度となく声を荒げ、ぶつかり合う。けれども、不安や苛立ちを表出する(できる)彼らを、少しうらやましくも感じた。(震災から二年となる今、このような場は、良くも悪くも失われている。直後にはなかなかかたちにできなかった想いが、身体の中や身の回りで、今も行き場を求めてさまよっている…と時折感じる。そのまま時の流れに任せておけばよいのか、向き合い、引っ張り出し、さらすべきなのか…。)悩み苦しむのは、幼い娘を守ろうとするヒロインだけではない。彼女を追いつめる母親たちのリーダー格(演じるは、貫禄の渡辺真起子さん)も、不安や孤独を抱えている。声高にならずにきちんとそこまで描かれていて、ほっとした。
彼女たちをはじめ、本作には様々な立場や感情を持つ人々が登場する。特定のひとりにというより、この時は彼に、あの時は彼女にと、それぞれに様々な瞬間の自分が重なった。感情はひとつではなく、時に相反するものが共存する。大丈夫と思ったり、不安になったり。常に揺れ動き、揺らぎながらバランスを取っている。ひとつの感情に支配されたり、溺れたりするまい、と改めて感じた。
ラストに流れるバッハの無伴奏チェロ組曲が美しい。タイトルの「おだやかな日常」も素晴らしいと思う。震災直後、おだやかな日常はやってくるのだろうかと途方にくれた。今は、おだやかな日常を過ごすことに、少しばかりの違和感や後ろめたさがある。おだやかだからこそ、そこに潜むものを意識する。だからこそ、おだやかと感じることを忘れかけていないか、鈍麻していないか…とはっとした。
「女性映画」とされているが、ヒロイン二人の夫を演じる男性キャストも印象を残す。「さよならドビュッシー」に続いての山本剛史さん。数年来気になる俳優さんだ。キワモノっぽい役が多い中、今回は出色だった。今後にも期待。一方、小柳友さんは…「トウキョウソナタ」同様、唐突な行動に出る役。不思議とハマります。

〜〜〜
「おだやかな日常」2012年、 日本・アメリカ合作
監督:内田伸輝
プロデューサー:杉野希妃、エリック・ニアリ
出演:杉野希妃、篠原友希子、山本剛史、渡辺杏実、小柳友
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2013年02月20日

長すぎない!幸せな2時間40分(沖田修一監督「横道世之介」)

映画は、90分ちょいが丁度いい。常々そう思っている。それなのに、 本作は2時間をゆうに越える2時間40分。観る前は少々不安があった。けれども、それは 全くの取り越し苦労だった。つくづく しみじみ、幸せな2時間40分。観終えた今も、あれやこれやと思い出し笑いがこみ上げる。終始、(いわゆる)たいしたことは起こらない。けれども、かけがえのない出来事が詰まっている。頭の隅に追いやっていた様々な記憶や想いを、心地よく刺激してもらった。
映画になると知り、事前に原作を読んだ。そのときは、この小説をどのように映画にするんだろう?と半信半疑だった。吉田修一さんの文章は素晴らしい。ぐいぐいと読ませる。だからこそ、そのまま映画でなぞってはいけない。そこが映画の面白さであり、映画化の難しさなのだと思う。
本作は、原作に寄りかからず、あくまで映画の空気を大切にしている。原作は、世之介という名前の由来である井原西鶴の「好色一代男」を意識したかのような軽妙な語り口が印象的で、名前にまつわるエピソードも何度か登場する。だが、映画はそこらへんをばっさりカット。さらには、映画オリジナルのエピソードがさりげなく織り込まれている。それでいて全く不自然さがなく、世之介(と彼を取りまく人々)らしさに満ちている。文章にするとヤボなのでいちいちあげないが、思い返すにつけ、顔がほころぶ。 共通していたのは、通常ならば終盤に置かれるであろう、世之介にまつわる「仕掛け」が中盤で明かされる点だ。原作を読んで知っていても、気持ちがざわめく。とはいえ、仕掛けに流されない物語のふくらみは、映画でも健在。あざとくなりかねない冒険が、出しゃばらずに効果をあげている。
そして何より、キャストの素晴らしさ! 文字で読んだときは「本当にこんな人がいるかな?」とちょっぴり思った。それが、本作のおかげで、世之介が、祥子が、生き生きと動きだし、きらきらと魅力を放ち始めた。特に、吉高由里子! 世間ずれしたお嬢様を、あれほどチャーミングに演じられるのは彼女だけだろう。「婚前特急」を観返したくなった。
また、「あえて語らない」点も印象に残った。例えば、「可愛いエプロンを着た世之介のおばあちゃん」は登場しない。どんなエプロンだろう、どんなひとだったんだろう、と考える。世之介を思い返す彼らのモノローグも、一切語られない。なかでも、世之介が憧れたバブルのあだ花のような千春(伊藤歩)の沈黙は、クールで美しい。映画ならではの余韻だと思う。
蛇足ながら…途中、ふと思い出したこと。
映画を通じて知り合った、当時学生だった若い友人。そういえば彼も踊っていたなあ…サンバだったかな…でも、なんか違うような…太陽かぶって踊ったりはしてなかったよな…「あ。」
彼がやっていたのは、サンバではなくサルサでした…! とはいえ、サルサを踊れる人に出会ったのは彼が初めてで、「へえー、踊るんだー、踊っちゃうんだー」と思ったものです。
そうだよ、石田くん、キミのことだよ。元気にしてますか? 映画観てますか? 「横道世之介」、ぜひ観てね。

〜〜〜
「横道世之介」2012年、日本
監督 脚本 沖田修一
脚本 前田司郎
原作 吉田修一
出演
高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛
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2013年02月14日

イーストウッド主演作となぜか重なる、ジャン レノ大奮闘のコメディ(ダニエル・コーエン監督「シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ」)

あまり期待せずに足を運びましたが、意外な拾いもの。観終えた後は、にこにこ ほくほくと席を立つことができました。個人的には、「レオン」以来のジャン レノ当たり役です! 肩に力が入っておらず、痛々しい無理も感じません。出しゃばらないけれど勢いがある相棒を得て、身体全体で生き生きとコメディを演じる彼は、新鮮で魅力的でした。観る前は「ジャン レノ、恰幅よく(メタボに)なっちゃって…」とさみしく感じていましたが、観終えた今は「アリかも!」という気持ちです。続編もひそかに期待します。
物語の方は、おなじみのコメディ要素(両極端な2人のギャップ、出産のドタバタ、「勝ち組」の滑稽さ、寄せ集めチームの迷走と活躍…)の連続で、劇中の料理のように新味はありませんが、小気味よい組み立てで素直に楽しめます。中盤のやりすぎな変装は抱腹絶倒モノ。たまたま隣に座っていたフランス人男性は、全編通じてげらげら気持ちよく笑っていました。お蔭で、私も本作をより楽しめたように思います。映画館ならではの味わいでした。
途中でふと感じたのは「なんか、似た話を観た気がする…」というデジャヴ。仕事一筋ながら下り調子の父親と、キャリアを積み上げようとしている娘、昔かたぎの姿勢の父親に憧れる若者の恋模様、伝統や名人技を蹴散らさんとするハイテク仕掛けの新しい流れ…。「うーん…えーと…あ!」思い浮かんだのは、あのイーストウッドの「人生の特等席」でした。共通点は多くても、物語の味わいはかなり異なる二作品。フランス/アメリカ、というお国柄も多少は影響しているのでしょうか…。興味深いところです。

cma

〜〜〜
「シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ」
監督ダニエル・コーエン
脚本ダニエル・コーエン
キャスト
ジャン・レノアレクサンドル・ラガルド
ミカエル・ユーンジャッキー・ボノ
原題 Comme un chef
製作年 2012年
製作国 フランス・スペイン合作
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あか
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2013年01月24日

上質の会話、音楽、ファッション…至福の二時間(ジェームズ・アイヴォリー監督「最終目的地)」

原作を読みながら公開を待っていた作品。真田広之(敬称略)本人の言葉か記憶が定かでないが、「現代劇を演じるのに運転免許が必須であるように、時代劇をやるなら乗馬ができて当然」という、20年以上前にふれた言葉が忘れられない。本作では、そんな彼が軽トラと馬を自在に乗り回す姿を堪能できた。
もちろん、本作の見処はそこだけではない。文学作品と相性のよい、あのアイヴォリー監督の新作、という期待にしっかり応えてくれる。特に今回は、南米ウルグアイを舞台とした現代ものである点が新鮮だった。同監督作品といえば、丈の長いドレスを纏った女性やカフスボタンが袖口で光る男性たちの恋愛模様…といった歴史物の印象が強い。閉じられた環境の中で、ときに伸びやかなきらめきを見せる登場人物たち。ところが本作では、開放的な異国に流れ着いてきた老若男女が、それぞれに孤独を抱え、所在なく過ごしている。濃く美しい緑、瑞々しい水辺、パワフルな砂ぼこり、心に染み込むような音楽。…そんな目新しい素地に、同監督らしい味わい深い会話の応酬が被る。ゆったりとしたリズムで発せられながらも、時に鋭く斬り込んでくる言葉たち。文字を目で追うのとは異なる、映画ならではの至福を存分に味わった。
また、それぞれの個性が光るファッションも忘れ難い。可憐で軽やかな死んだ作家の若き愛人・アーデン、田舎には不釣り合いなセレブ然とした妻・キャロライン、スカーフや帽子など小物遣いに洒落っけが垣間見える兄アダム。物語が進むにつれ、変化が生じていく様子にも心が沸き立つ。服装がその人となりを映す、ということを改めて感じた。
言わずもがなながら、キャスティングは絶妙。バラバラの境遇を持ちながら、どこか同じ匂いがする人々を、名優アンソニー・ホプキンス、ローラ・リニー、シャルロット・ゲンズブールらが、互いの持ち味を引き出しつつ演じている。そしてやっぱり、推しておきたいのは真田の好演。原作ではタイの若者・ピートの年齢をぐっと上げ、それでも実年齢より十歳若い役柄を颯爽と演じている。彼こそキーパーソンと原作を読んだときに感じていたので、真田に息吹を吹き込まれたピートを堪能でき、とても満足した。
本作には、優雅な午後の紅茶よりも、とろりとした琥珀色のお酒の入ったグラスがよく似合う。

cma

〜〜〜
「最終目的地」:The City of Your Final Destination、2009年、アメリカ

監督:ジェームズ・アイボリー
原作:ピーター・キャメロン
脚本:ルース・プラバー・ジャブバーラ
撮影:ハビエル・アギーレサローベ
美術:アンドリュー・サンダース
衣装:キャロル・ラムジー
音楽:ホルヘ・ドレクスレル
出演:アンソニー・ホプキンス、ローラ・リニー、シャルロット・ゲンズブール、オマー・メトワリー、真田広之
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2013年01月15日

キャラクター一人ひとりの魅力が際立つ映画版(トム・フーパー監督「レ・ミゼラブル」)

期待を裏切らない良作です。
すべての台詞をメロディーにのせた完全ミュージカル、回り舞台を駆使したスピード感ある物語展開、ダブルキャストによるアンサンブルの妙…。そんな舞台版の魅力を生かしつつ、映画ならではの味わいが存分に発揮されていました。
荒海や広大な山々、緻密な街並みなどダイナミックなロケーションは言うまでもありませんが、俳優の顔や動きをつぶさに味わえたのが大きな収穫です。「レ・ミゼ」の個性豊なキャラクターたちが、オールキャストの効果も手伝い、皆キラキラと魅力を放っていました。中でも、アン・ハサウェイが演じたファンティーヌを見直すことができたのが良かったです。舞台を観た頃は(私自身が未熟ということもあり)「あまりにも悲劇のヒロインすぎる」と思っていましたが…。服装、髪、歯…とじわじわとささやかなプライドのよすがを奪われ、自身の不幸を受け入れながらも娘の幸せを願う姿に、毅然とした強さと美しさを感じました。そして、いかに彼女とジャン・バルジャンは重なり、共鳴しあうキャラクターであるか、ということも実感。舞台版ではファンティーヌとエポニーヌが彼の昇天に付き添いますが、今回のラストは然もありなん、と納得しました。
そして、テナルディエ夫婦! 彼らがいてこそ物語は勢いよく転がり、面白みが増すのです。サーシャ・バロン・コーエン、ヘレナ・ボナム・カーター、ともに適役すぎる適役!でした。憎たらしいのに憎みきれない、どこまでもしたたかで、愛嬌さえある彼らの魅力が、スクリーンをところ狭しと撒き散らされます。「哀れな人々」というタイトルどおり、重たく救いのないエピソードが連なる中、彼らの「笑い」は希少にして貴重だと改めて感じました。
一方、マリウスは…本当に困ったおぼっちゃまです。エディ・レッドメイン、「マリリン、7日間の恋」に続きイメージどおり。(これは彼への賛辞です。)エポニーヌの想いに気付かず、後の義父に命を救われておきながら、革命に挫折して感傷に浸っては恋人に癒され…。コゼットの将来が少々心配になりました。とはいえ、苦労してきた彼女のこと、夫が頼りなくても、(多分)しっかりやっていけることでしょう。マリウスのおうちは名家のようですし、路頭には迷わないかな、ということにしておきます。(できれば、経験をいかして慈善事業を発展させ、病院や孤児院、学校などを設立して活躍してほしいものですが…。)
とめどない空想はさておき。観てから数日はもちろん、こうして思い返すたびに「レ・ミゼ」の珠玉のメロディーが身体の中で響き始め、鼻唄となってあふれてきます。舞台版も、改めて観返したくなりました。これもまた、映画の力だと思います。

(蛇足:
ちなみに…
「ダブルキャストの本来の意味から」は反れますが、舞台版では、全ての俳優が複数の役を演じていたそうです。メインキャストさえも、出番以外では死体や群衆の一人を受け持っていたとか。舞台ならではの「技」だなと感じました。)

cma
〜〜〜
「レ・ミゼラブル」:Les Miserables、2012年、イギリス
監督:トム・フーパー
製作:ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、デブラ・ヘイワード、キャメロン・マッキントッシュ
製作総指揮:ライザ・チェイシン、アンジェラ・モリソン、ニコラス・アロット、リチャード・パパス
作:アラン・ブーブリル、クロード=ミシェル・シェーンベルク
原作:ビクトル・ユーゴー
脚本:ウィリアム・ニコルソン、アラン・ブーブリル、クロード=ミシェル・シェーンベルク、ハーバート・クレッツマー
撮影:ダニー・コーエン
美術:イブ・スチュワート
編集:メラニー・アン・オリバー、クリス・ディケンズ
作詞:ハーバート・クレッツマー
作曲:クロード=ミシェル・シェーンベルク
音楽監修:ベッキー・ベンサム
音楽プロデューサー:アラン・ブーブリル、クロード=ミシェル・シェーンベルク、アン・ダドリー
出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、アーロン・トベイト アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、ヘレナ・ボナム・カーター、サシャ・バロン・コーエン
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